マンションだけに限らず、モノを作るときの値段というのは「モノの値段」と「人の値段」の二種類しかない。モノは大量に一括して買えば当然メーカーは値段を下げてくる。「いま建てているマンションだけでなく、うちで建てるマンションのすべてにおたくの製品を使うよ」こう言えば製品の値段は一〇〇パーセント下がる。三割、四割なんて問題じゃない。場合によっては定価の三割で手に入ることもあるのだ。これを大手建設会社は日夜交渉しているのである。ところで、大手建設会社から仕事を請けると設計図といっしょに仕様書がついてくる。ここにはどんな洗面台を設置するかとか、厚さ何ミリのカーペットを使うといったような細かなことが書かれていて、これは簡単には変更できない。この仕様書に縛られているかぎり、昔のように意図的に品質を落とすことはかなり難しいのである。ところが、この仕様書には必ずといっていいほど「……または○○と同等」と書かれているものが多い。これがくせもの。私たちにすれば天の声。つまり、同等なら性能さえ変わらなければ指定されたメーカーのものでなくともいいではないかと考えるわけである。これが業界用語でいうVEだ。つまり、ナショナルや東芝のような一流メーカーの製品を、同じ機能で二流、三流のメーカーの製品に変えるのである。このほうが値引き率も高いし価格交渉もしやすい。もっとも、製品への信頼度からいえば少なからず問題があるが、機能が同じなのだからこれは手抜きとはいえない。韓国製なら半額になることさえあるのだ。いってみればこれは私たちの逃げ道でもある。ただ、こういう製品が売主の保証期問内に故障したときである。よくあるのが製造中止になっている場合。故障したときに備えて部品を何年ぐらいストックしているかが問題で、修理しようと思ったら部品がないために結局廃棄処分するしかなかったというようなことがいくらでもあるのだ。それだけならいいがメーカーそのものがなくなっていることもある。こうなったら故障したときが即アウトである。そうでなくとも小さなメーカーは何年も部品の管理をしていることが少なく、故障したときがいちばん困る。だからなるべく補償期間内に故障しないものを選ぶのも私たちのウデの見せどころでもあるのだ。また、韓国や台湾のメーカーに作らせて、知名度のある販売会社のオリジナル製品として備えつけている場合も少なくない。