「なんとかあなたと結婚したいという願いから、熱心に電話をしてきたのかもしれないっていうわけ?」「そうだと思います。それに、私のいろいろな考え方に賛成だといったのも、ほんとうは結婚したいために合わせていたのかもしれません」「なるほどね!」〈そういえば、男にとって結婚難の今、女性の心を射止めるためには、「アッシー」や「メッシー」、「ミツグ君」になるのも厭わない時世だもの、自分の本当の姿を隠して、うわべだけ相手の女性の考え方に賛意を示す男が多いからね〉、とは口にしませんでしたが、この男性もそうだったのかもしれないなどと、一人で感慨にふけらざるを得なかったのです。相手の男性の本当の姿が隠されていたと思えるようなエピソードに、こんなことがあったとも言うのです。二人のつき合いのレベルについてですが、結婚するまでは、相手の家に入ってはいけないと母親に禁じられていた彼は、デートの後にM子を家に送ってきた時に、M子の両親が、いくら招き入れようとしても決して家の中には入ろうとしない。「食事をしていったら?」とすすめても断られたと言うのです。もちろん、相手の家にもM子を招いてくれない。ただ、一度だけ食事にと招かれて訪ねたことがあるが、その時は、客間で二人だけの食事で、母親は同席しなかったそうです。そんなことで、相手の母親とは見合いの時と、結納の時を除いてほとんど話す機会がないままであったけれど、母親の意見は彼の口を通して何度も聞かされていたというわけです。
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