ほとんどの人が結婚していたって、だからといって自分も結婚しなくてはいけないわけではない。けれど、よく考えてみてほしい。人間はそんなに強いものではないし、少数派であることを選択するのにはよほどの主義主張と意志が必要である(前出のKのように)。もし、あなたが小学生だったとして、クラスの子のほとんどが塾に通っていたとしたら。もしあなたが高校生だったとして、クラスの女の子のほとんどがルーズソックスを履いていたら。もしあなたが大学生で、友達のほとんどが携帯電話を持っていたら。もしあなたが二十代の会社員で、会社の同僚のほとんどが社員旅行に参加するとしたら。あなたがそういうことに対してものすごく反感を持っていて、自分だけはしないという意志を通していく気ならば話はわりと簡単である。周囲から浮くことを覚悟で胸を張って一人の道をゆけばいい。無視されたり苛められることも受け入れていけばいい。問題は「別にどっちでもいい」人に発生するように思う。塾に行くのは楽しいし、流行りものは好きだし、友達といつでも連絡がとれるのは便利だし、社員旅行もそれなりに楽しめる、という前向きで無邪気な人は、それはそれで問題はない。そういう人は放っておいても幸せな結婚をして幸せな人生を送るだろうから。しかし多くの人は「みんながやっているからなんとなく」という理由で、日々の選択を済ませているのだ。くどくもまた念を押すが、それが悪いと言っているわけではない。何をするにつけ、いちいち動機と目的をはっきりさせてなんかいられない。なにしろ世の中にはどうでもいいことが山のようにある。たとえば私も学校の選択は自分の偏差値で入れるところ、会社は入れてくれるところ、というだけの基準で選んできた。