住宅困窮を住宅システムのあり方に関連づける見方が重要

2011.12.30

住宅需給関係の基調が「住宅不足」から「住宅余剰」に移行したとはいえ、低所得者が入居可能な低家賃住宅は依然として欠乏している実態がある。市場経済は低所得層の住宅需要に反応せず、市場では住む場所を確保できない多数の世帯が存在する。住宅政策の運営は、この実態から無縁ではありえない。しかし、ネオリベラルの住宅システムでは、市場住宅の供給と消費が原則とされる。この原則のもとでは、セーフティネットの形成はマージナルな位置づけしかもたず、公営住宅の守備範囲はいっそう狭められる。

[参考情報]
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住まいを市場経済に委ねようとする政府は、セーフティネットを準備せざるをえず、そして同時に、市場領域を拡大するためにセーフティネットの役割を限定するという矛盾した政策を採る。二〇世紀の末から、住む場所の確保さえ困難な世帯が増大した。不安定就労者、高齢の単身者、母子世帯、低賃金の就労者、失業者……は低劣な住宅条件に苦しみ、野宿者などの定まった住所さえもたない人たちが存在する。経済の停滞が住宅困窮を増やしたという説明がありえる。しかし、この理解の仕方は一面的である。より重要かつ適切なのは、住宅困窮を住宅システムのあり方に関連づける見方である。