労基法を下回る労働条件は無効になる

2011.08.15

労働基準法は一日の所定労働時間は八時間を超えてはいけないと定めていますが、現実には一日の所定労働時間が七時間であったり七時間三〇分である職場は少なくありません。また、一日の所定労働時間が七時間の場合、七時間を超え八時間までの一時間について時間外労働の割増賃金をつけている職場も決して珍しくありません。時間外労働に対する割増賃金は、八時間を超えた分について支払うのが労働基準法の基準になっているわけですが、これなども労働基準法の基準は最低基準であるため、それ以上の基準で使用者が対応する場合があるのも不思議ではありません。このほか、休日は「週一日」が法定の休日として最低限必要なのですが、現実には週休二日制をとっていたり国民の祝祭日があって法定外の休日は日常化されています。労働者の生活と権利を守る同様のことはほかにもあります。たとえば、有給休暇は「六ヵ月継続して就労したとき一〇日」を保障していますが、「三ヵ月で五日」といった規定のある職場もあります。このように労働基準法を上回る労働条件をみつけることは決して難しいことではありません。したがって「うちは労働基準法を守っています」ということは「最低基準を守っています」というだけで、あまり胸を張っていえることではないでしょう。また、労働基準法には労働者の生活と権利を守るという本質があるのですが、戦前の保護法が恩恵的に「してやる」の姿勢であったのに対して、憲法で保障されている当然の権利を認めたものといわねばなりません。さらに、労働基準法はその第一条に労働条件は労働者が「人たるに価する生活」を営むがための必要を満たすものでなければならないことを明記しています。この場合「人たるに価する」とは、「わが国における、そのときの経済的、文化的水準」をいうのであって時代の変化や国際間のギャップに左右されるものでないことはいうまでもありません。労働基準法における基準とはこうした水準と感覚で判断しなくてはならないのですが、これも労働基準法の特徴です。